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数年前、東京医科大学が女子受験生を対象に入学試験の点数を一律減点していたことが、大きなニュースになりました。あのとき、恥ずべき性差別への怒りに震えるのと同時に、一部からそういった得点操作を「必要悪」とする声が上がったことにめまいがしたのを覚えています。

女性というだけで努力を不当に踏みにじられる。それを当たり前とする社会。僕が身を置いている場所は、こんなところなのか。
 

 


でも振り返れば、同じような局面を自分も目にしていた。ライターの仕事を始める前、僕は就活情報サイトの広告営業の仕事をしていたのですが、そこで経営者や人事から「できれば男性を優先的に採りたい」という声は何度も聞いてきた。

就職試験の結果だけを見れば、能力が優秀なのは女性。だけど、将来的に会社に残るのは男性だから。入社後の伸びしろが大きいのは男性だから。そう言って、スコアの低い男性を採用することはごくありふれたものとしてあったし、あのときの僕はそれに対して「そういうもの」と受け入れていた。

外部の営業が、会社の採用に口を出す権限なんてない。仮に疑問に思っても、自分にできたことなんてなかったのかもしれない。それでも、自分も「加担者」の一人だった。その事実が、胸に苦い濁りを落とす。

『虎に翼』第5・6週は、弁護士の道を目指し高等試験に挑む寅子(伊藤沙莉)たちの努力と、それを飲み込む理不尽が描かれた回となりました。